International Baccalaureate Primary Years Programme

IB PYP - 国際バカロレア プライマーリーイヤーズプログラム

 

教師主導ではない「生徒主体」の教育を目指して

 

20年後を生きる子ども達のために

 

子ども達が大人になる頃、世界はどんな風に変わっているでしょうか。グローバリゼーション、テクノロジーの進化、また少子高齢化にともなう社会構造の変化、20年後の日本がどのようになっているか、それはある意味誰にも予想のつかない世界です。

 

一方、世の中が急速に変わりつつある中、子どもの受ける教育は、20年後を生きるために役立つものになっているでしょうか?エンゼル幼稚園は時代の流れと共に、教育も変わっていかなければいけないと考えています。

 情報はもはや手元にある携帯電話で殆ど得ることができる時代です。これからは、知識を覚えるというよりも、どのような時代も生き抜くことの出来るスキル、例えば、課題を自ら解決できる、誰とでもコミュニケーションがとれる、仲間と協力して作業ができる、自分の考えをプレゼンテーションできる、などしっかり身に付ける為の教育が必要です。

 更に、今後の教育は「子どもひとりひとりの能力、個性をいかに伸ばすか」を真剣に考えなくてはいけません。親の望む、先生が望む優等生ではなく、ひとりひとりの持ち味を本当に伸ばしていく教育です。

 

 世界の教育トレンドは今、「教える教育」から「自ら学ぶ教育」へ変わろうとしています。「生徒主体の学び」こそ、国際バカロレアが示すフレームワークの目的であり、私たちはそれを学んでこの園の教育に生かしたいと願い、取り組み始めました。

 

 変わっていくこと、変えようとすること、それには勇気と決心が必要です。今、エンゼル幼稚園の教育は変わろうとしています。しかし、この新しい教育の発展には、保護者の皆さんのご協力が必要です。学校教育は学校の先生だけで作り上げるのもではなく、保護者の皆さんと作り上げていく、これもこれからの教育のあり方です。

20年後の未来の有り様が、仮に今の私たち大人にはあまり重要でないと思ったとしても、私たちが育てようとしている小さな子どもたちにとっては、大きな問題です。彼らは今の私たちが想像することすらできない未来を生きていかなくてはなりません。

 

 その子ども達のために、私たちは大人として今何をしてあげられるのか、保護者の皆様と共に考えていきながら、この先もより良い学校、より良い教育への道を歩み続けたいと願っています。

エンゼル幼稚園教育理念

 

・多文化や他民族を受け入れ(認め)ながら日本人としての自尊の念を持ち、世界平和に貢献できる人材の育成を目指す。

・幼児期に必要な、文化、伝統、自然の体験から真の国際人の育成に努める。

・健全な体と素直な心。探求する姿勢。自立し忍耐する精神力。豊かな知的発達。

 

それらをバランスよく兼ね備えた幼児の育成に努める。

 

 

以上を基本理念とし、その実現の為に、文部科学省の定める「幼稚園教育要領」に加え、IB機構の提唱するカリキュラムフレームワークを取り入れて教育実践をしていきます。

・国際バカロレアとは?(What is IB?)

http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/

バカロレアはもともと、それぞれの国の制度を超えて、高等学校の卒業資格にあたる基準を統一化する目的で作られました。

 

高等学校の卒業資格というのは、国によって制度が異なります。日本のように教育過程を修了することで卒業資格を取得し、大学への進学はその「受験資格」をもとに、各大学入試試験に合格することで入学が認められる制度もあれば、高等学校の終わりに「卒業試験」を受験し、その点数をもとに面接などを経て大学に入学する場合など様々ですが、大学のグローバル化が進む中、世界の大学はいろいろな国から統一した基準で優秀な学生を獲得するための手段として、バカロレアのディプロマプログラム(DP)卒業試験スコアを多く採用するようになりました。

 

バカロレアDP卒業生の推薦による受け入れは、ハーバード大学、オックスフォード大学などの有名大学のみならず、東京大学を始めとする日本の大学においても広がりを見せており、ディプロマプログラムの卒業資格を取得することにより、生徒は国内の大学のみならず、海外の有名大学への進学が可能になります。

 

<一貫性のある教育プログラム>

「生徒主体の学び」を教育理念の柱とするバカロレアは、更に高等教育以前から同じ理念で一貫性をもって生徒が育つことの重要性を提唱し、ディプロマプログラム(DP)に加え、日本の中学生相当にあたるMYP(Middle Year Programme)、さらには3歳から始まるその下のPYP(Primary Year Programme)のカリキュラムフレームワークを確立し、全世界で急速にその認定校が増加しています。

 

 

エンゼル幼稚園が目指す教育

 

International mindedness(国際感覚)

 

 インターネット技術の進歩により、もはや地球の反対側にいる人ともリアルタイムでコミュニケーションが取れる時代です。

「自分の価値観や考えとは異なるものを当たり前のこととして受け入れることの出来る態度」お互いの違いを認め合いながら、協力しあって生きていく、その態度を幼児期から感覚的に身に付けておくことが重要と考えています。

 

個性を伸ばす教育

 

 日本の教育は生徒の興味関心とは関係なく「誰もが同じことを同じようにできること」を良しとしてきました。人は生まれた時から誰一人同じではなく、それぞれに個性があります。私たち教師や親の役目は、そのひとりひとりの持ち味を見極め、尊重し、それを伸ばしてやる事です。本来、常に好奇心でいっぱいの子ども達は好きなことには時間を忘れて没頭し、興味があることは言わずともどんどん知識を深めていくものです。その個性を大切に育てようとする努力こそ、どの子も隠し持っている素晴らしい才能を最大限に引き出す教育であると考え、ひとりひとりを大切にする教育の在り方を教員と探求し続けていきます。

 

失敗こそが学び

 

 「学び」とはなんでしょうか?

私たちの考える学びとは新しい経験をすることに加え、「失敗をして、それを振り返るプロセス」であると考えています。つまり失敗することによって人は学ぶことが出来るわけです。しかし、我々大人は、子どもに失敗させまいとついつい手を出しすぎてしまったり、最初から答えを与えてしまったりすることがあります。これは、いわば、子どもが学ぶ機会を奪ってしまっていることではないでしょうか?

 テストで高い点数を取ることが「よく学んだ」ということではありません。答えにたどり着く過程の中で、いかに失敗し、それを振り返ったのか、回り道が多ければ多いほど学びが多い、教師はその過程を子どもと一緒に振り返りながら「学ぶ」ということがどういうことなのかを考えさせるようにしていきます。

 

 

 

 

 

 バカロレアにおいては、生徒を始め、教師、保護者、学校コミュニティーをとりまくすべての人が、Life long learner(生涯にわたって学習者であり続けること)でありグローバル時代を生きるために必要な人間性の要素として全世界のIBスクールが下記の10のプロファイルを推奨しています。

目指す10の学習者像(Learner Profile)

 

 

  • 探求する人

  • 知識のある人

  • 考える人

  • コミュニケーションができる人

  • 信念をもつ人

  • 心を開く人

  • 思いやりのある人

  • 挑戦する人

  • バランスのとれた人

  • 振り返りができる人

 

 

これらの10の像を備えた人物の創造を目指す

 

 

 

今までの幼稚園では、自由遊び、お集まり(歌、手遊び、紙芝居、絵本)、制作、合奏、お弁当など、小学校に入学するまでの最低限のことを身に付けます。

しかし、IBではIB協会からのテーマが決まっています。それもおおまかな概念がテーマとなるので、そのテーマに沿ってカリキュラムを決定していくのは教師の役目となります。

IBでは、教科ごとに授業を分けるということがありません。

日本では理科で「水」の性質を学びますが、IBでは、水は社会、理科、国語、数などすべての要素に関連します。つまり、教科がないのです。

 

 

テーマは1つで、1つのテーマを様々な視点から学び、学ぶ方法も教師と子どもで決定します。まさにIB教育は、今までの日本の教育とは異なった教育なのです。

PYP  6のUnit

 

PYPでは1年間に以下の6つの「教科横断的テーマ」を学びます。1つのユニットごと、約6週間かけて取り組みます。(年少、中はうち4つのUnitでOK.)

 

1. Who we are

  わたしたちは誰なのか

2. Where we are in place and time

  わたしたちはどのような場所と時代にいるのか

3. How we express ourselves

  わたしたちはどのように自分を表現するか

4. How the world works

  世界はどのような仕組みになっているのか

5. How we organize ourselves

  わたしたちは自分たちをどう組織しているのか

6. Sharing the planet

   この地球を共有するということ

実際にどんなことをしているのか

 

 各学年、今のクラスの子ども達と生活する中でそれぞれ伸ばしていきたいところがあります。それは、お友達とのトラブルが起こらないような関係を作ることやもし問題が起きても自分で解決していけるようにしたり、おもちゃや友達にやさしくする気持ちを育てたかったりといろいろあります。

 

そこで、学年ごとに2017年6月に行った活動と今後の予定を簡単にまとめ、どういった狙いでどのように進めているのかを記載しました。

年少 ユニット     How we express ourselves

だんだんと園生活にもなれてきた年少ですが、まだお友達と遊ぶことにあまり興味がなかったり、友達同士のコミュニケーションが取れなかったりする子がいる中で、友達と遊ぶ意味や遊びの中でコミュニケーションの取り方をつかんでいってもらいたいという思いから、「遊びを通してコミュニケーションをする」というセントラルアイディアを掲げました。

先生と一緒に遊んだり、一人でじっくり遊んだり、お友達と遊んだり、遊びの中にもいろいろなものがあり、遊びの中で動きや表情で気持ちを伝えられるようになったり、自分の思い通りにいかなかったときどうしたらいいのかなどを友達や先生との関わりの中から学んでいきます。

砂場遊び

実際の活動として砂場遊びをしました。下記は各クラスの様子です。

 

みんなで協力して川を作ったり、プールを作って「ここは○○にしよう!」「こうしたい!」「先生、これやって!」と発言したり、他の友達の真似をする様子が見られた。

また、普段遊ばない子どもとの関わりもあった。

それぞれ自由に遊ぶ子、少人数で遊ぶ子、みんなで一緒に大きな山を作る子、クラスを超えたお友達と遊ぶ子など様々な関わりがあった。

水を流し入れパイプを使って遊んだので、「流しそうめんみたい!」「ラーメンを流すやつ!」など様々な声が聞かれた。

 

今後の活動:小麦粉粘土制作

教室で、一人1個ずつ好きな色を選んで小麦粉粘土を作る。(赤、黄、緑、青)

グループごと床で作り、できたら小麦粉粘土で遊ぶ。

 

他のお友達に別の色の粘土をもらったり、あげたりする。

この中で、友達との関わりを深めたり、お友達を意識していく。

 

 

年中 ユニット Who we are

 お友達とトラブルがあったり、少し意地悪になったりしてしまう子、

きつくお友達に対して言ってしまう子、自分の好きなこと、やりたいことに夢中になりすぎて周りのお友達の気持ちを考えて行動することの難しさを感じています。そんな友達に対して優しくする気持ちを育てたい。といったことからこのユニットで「友情は私たちの生涯を豊かにする」というセントラルアイディアを掲げました。

 

ビデオ鑑賞・話し合い

トムとジェリーの3つの話(子猫にいじわるをする、アヒルを助ける、ネズミをいじめようとして犬に追いかけられる)か、トイストーリーをそれぞれ各クラスで鑑賞。

 

ビデオを観て…

面白かった、楽しかった、かわいそうだった、いじわるだったなどそれぞれの意見が出てくるもいつも発表する子が積極的に発言していた。

ちっちゃい猫がお尻を叩かれていてかわいそうだった。優しい所もあった。トムがかっこよかった。ジェリーがかっこよかった。いじわるは嫌な気持ちになる。

アヒルが泳げないで一匹はぐれているところをジェリーが泳ぎ方を教えて成長させていくところでは、優しかった。などの意見もあり、お友達に優しくするべきとの話になったクラスもあった。また、「みんなで仲良くあそんだらいいよ!」といった声も聞かれた。また、「見ることは楽しいけど、友達にされたらいや!」といった意見もあった。

 

トイストーリーでは、ロケットで飛ぶのが楽しかった、面白かった、楽しかった、ウッディとバズが2人で力を合わせていた!みんなが仲良しになってからお話が楽しかった。などの意見が出て、意外とみんな集中して観ることが出来ていた。

お友達と協力したら仲良くなれる、悪いことをすると友達は協力してくれなくなる。などの気づきが見られた。

 

今後の活動

「幸せのバケツ」(絵本)を読む

(世界中のどんな人も、心に「しあわせのバケツ」を持っています。そのバケツは、人が喜ぶことをすると一杯になり、逆に嫌がることをすると空になってしまいます。人同士が思いやり、親切にすれば、みんなが幸せになれることを、バケツを例えに優しく説いた絵本です。)

 

画用紙に書かれた(happy / sad)のバケツを色塗りし、理解を深める。

 

バケツを作る

紙コップにモールをつけてそれぞれのバケツを作る。

良い事や嬉しいことがあった場合にお友達のバケツにハートを入れていく。

バケツを通しながら素敵な姿をみんなで考え作って行く。

時間のある帰りの会の際などに、♡を入れた子が何をしてくれたのか発表しながら素敵な姿の姿勢を子ども達で作って行く。

 

素敵な姿の絵を描く

 

体の構造についても触れながら、自分が思う素敵なお友達の姿や素敵な人の絵を描く。

年長 ユニット Who we are

 年長もお友達とトラブルがあったり、少し意地悪になったりしてしまう子、きつくお友達に対して言ってしまう子、自分の好きなこと、やりたいことに夢中になりすぎて周りのお友達の気持ちを考えて行動することの難しさを感じています。そんな友達に対して優しくする気持ちを育てたい。といったことから年中同様にこのユニットで「友情は私たちの生涯を豊かにする」というセントラルアイディアを掲げました。

 

トイストーリー鑑賞

エッセンシャルアグリーメント(お約束)を事前に作成。

ケンカしない、入れてという、入れないと言わない、友達を押さない、ケンカしたら握手する、ありがとうと言う、みんなで仲良くする、先生、友達、親の話をいい姿勢で聞く。などの意見が出た。

 

トイストーリーを観て

最初は面白かった。楽しかった。感動した。怖かった。などのよく発言する決まった子から意見が上がった。

 

どういうストーリーだったかを振り返って

バズを押したのが悪かった。シドの家に行ってかわいそうだった。ロケットで飛んだところが面白かった。などの意見が各クラスで出た。

あるクラスでは、ウッディがいじわるしたけど、優しくなった。といった発言から「なんで仲良くなったのか?」を各グループで話あったところ、話をしていなかった子も小グループだと意見を言う姿が見られた。

また、ウッディはバズが羨ましかったから意地悪しちゃった。という意見から、「どうしたら仲良くなれる?」という話に発展し、意地悪しないでいればいい。といった結果が出た。

しかし、別のクラスでは全体で話をしている中で、意見が言えず泣き出す子がいたり、首をかしげる様子も見られた。また、トイストーリーを観て○○で感動して泣いちゃった!という子もおり、年長なりの感受性の高さに年中との違いがあった。

 

今後の活動

「くれよんのくろくん」(絵本)を読む

(まっしろな画用紙にくれよんのきいろくんがちょうちょを描いた。

そして「ちょうにはお花が必要だね」と友だちをつれてくる。さて、何色をつれてくるかな。

その次はなにいろくん? 1ページごとに色の数が増え、楽しい絵ができあがっていく。

ところがくろくんは仲間に入れてもらえません。でも…意外なところで大活躍することに。

「くろくん、さっきはごめんね。ありがとう」とみんなが必要であることを気づかせてくれる絵本です。)

 

6/23 役割、材料を決める

6/29 ポテトサラダづくり

 

この活動を通してみんなで協力すること、責任感を持たせていく。


どんなことが変わるのか

 

 子ども達が自ら考え行動できるよう、先生がすぐに答えを言わず、自分で考える機会を増やしていきます。

今までなかなか自分の意見を言えなかった子も、少しずつ自分の意見を言えるような、聞いてもらえやすい環境づくりや話しやすい環境づくりを大切にし、ひとりひとりの個性を更に伸ばしていけるような保育を行っていきます。

また、自分たちの成長を目に見える形でクラスに掲示しながら、今行っていることをわかりやすくしたり、先生やお友達同士でいろいろなことを探究したりしながら学ぶことの楽しさを通して知識を増やし、自分で考え行動できるようにサポートしていきます。

 

 その為には、どういった方法で進めていくのがいいか、どうしたら子ども達が理解しやすいのか、自分のクラスの子ども達は今何に興味があるのか、どう進めていけば更なる学びを深めていけるかなど先生たちで話し合いながら決めていくことが重要になります。

 

また、学園としての方向性やそれぞれ伸ばしたい面(例えばお友達との仲を深める、感謝や譲り合いの気持ちを育てたい、など)園として、学年として、クラスとして合わせる部分もあるので、職員が同じ方向を向いてコラボレーションしていくためにも、ミーティングを重要視しています。

 

 そういった面で、以前にもお伝えしたとおり、1週間に一度各学年で12:30~14:00の間でミーティングの時間を設け話し合いをしています。

また、夕方にも学年ごとのミーティングの時間を設けており、より細かいことを決めたり、必要なものを作ったり準備したりしています。

また、全職員が集まって共通理解できるよう話し合いの場を設けたり、勉強会としてワークショップを行ったりなど教師も常に学んでいく時間を大切にていき、教師自体も生涯学習者であるよう努めて参ります。

 

まずは、今年度は無理せずゆっくりユニットを進めていく中で子どもの主体性を大事に保育していき、教師や子ども達の様子も見ながら進めていく予定です。また、年間の行事についてもやり方は変わっていくかもしれませんが、季節や日本人としての心も育てていきたいので、行事自体はあまり変わることはないかと思います。

 

 

皆様には何かとご心配やご不安をお掛けすることもあるかと思いますが、お子様の未来を豊かにするべく職員一同一生懸命進めて参りますので、皆様のご理解、ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。